三井物産の企業研究

三井物産は圧倒的に「金属資源」の比重が高く、優位性がある総合商社。

中でも鉄鉱石、原油の生産権益量は商社の中でも飛びぬけている。

一方で資源領域は国際的な相場価格や地政学リスクの影響を受けやすいというデメリットもあるため、基礎収益力の向上や事業ポートフォリオの再編をすすめているようだ。

特に天然ガス・化学品・鉄鋼製品・穀物などのトレーディング、および自動車やヘルスケアなどの市況に左右されにくい事業の収益力改善に注力している。

「360° business innovators」は、佐藤可士和氏が監修し策定したビジョンのようだ。

明確に「こういう意図である」と明示した情報が見つからないが、情報を総合するに、おそらく360°：地球規模のあらゆる課題に対して、business innovators：一人一人の社員が挑戦と創造を担い、世界中の未来を創っていく…という思想であろうと思われる。

22年3月期は過去最高益。

特に利益を牽引する金属資源の領域では、オーストラリアの鉄鉱石・石炭・銅事業における販売価格の上昇を理由に3,177 億円の増益。

純利益の構造を見れば一目瞭然だが、金属、次いで機械・インフラ、エネルギーという形で、大きく資源分野の利益が突出して強みと言えるだろう。

一方で資源分野は国際的な資源相場価格の上下動の影響を受けやすいというデメリットもあり、安定的に収益を生み続けるためにも事業ポートフォリオの組替えや事業再編成を積極的に行っているようだ。

具体的には、脱炭素を掲げた電力・カーボンリサイクル事業、アジア最大級の民間病院グループIHHを核とした病院・クリニック事業、アジアの通信・電力・物流など「国造りへの貢献」という事業などに注力し始めている。

五大商社の中ではやや有給取得数が多い。

残業時間は平均的な水準。

21年3月期より若干採用人数は減らしている傾向のようだ。

応募要件に「当社役員・社員の子女、兄弟姉妹でない方」を掲げているのは、フラットに多様で優秀な人材を取り込みたいという意欲の表れに見える（2024年度応募資格より）。

初任給は総合職25.5～29万と一般相場よりやや高め。