伊藤忠商事の企業研究
この記事では、伊藤忠商事株式会社の企業研究についてまとめます。
(2023年1月時点の情報に基づいています)
10秒でわかる伊藤忠商事のまとめ
1858年創業、「非財閥系」の5大商社。
多くの総合商社が資源分野中心の収益構造であるのに対し、非資源分野で7割程度という非常に高い収益力を持っており、国際的な資源価格の影響に左右されづらい財務体質。
傘下に「ファミリーマート」など有力企業を抱えている。
直近の純利益は8,203億円。従業員一人当たり純利益は713万円。(22年3月期)
会社概要
会社名 | 伊藤忠商事株式会社 |
URL | https://www.itochu.co.jp/ |
本社 | 東京都港区北青山2丁目5番1号 |
資本金 | 2,534億4,800万円 |
従業員数 | 4,200名 |
事業概要 | 繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の各分野において、国内、輸出入および三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、幅広いビジネスを展開。 |
基本的なビジネスモデル
伊藤忠商事は「5大商社」の一角。
これらの総合商社は「トレード」と「事業投資」の2つがビジネスモデルの核となる。
総合商社の基本的なビジネスはこちらの記事(総合商社のビジネスモデル)をご確認ください。
伊藤忠商事は江戸末期、1858年創業の「非財閥系」商社。
多くの総合商社が資源分野中心の収益構造であるのに対し、非資源分野で7割程度という非常に高い収益力を持っている。
同社のルーツである「繊維」をはじめ、「食料」などの生活消費関連ビジネス、その他「住宅」「機械」「金融」「情報/金融」など、まんべんなく強みを有している。
国際的な資源価格の影響に左右されづらい財務体質と言えるだろう。
傘下に「ファミリーマート」や「Dole」など有力企業を抱えている。
理念・ビジョン
三方よし
伊藤忠商事 HP「企業理念」より
「買い手よし、売り手よし、世間よし」近江商人の活動理念を企業理念に掲げている。
自社だけではなく周囲の様々なステークホルダーの期待と信頼に応え社会課題の解決に貢献したい、という思想。
ひとりの商人、
伊藤忠商事 HP「企業行動指針」より
無数の使命
社員ひとりひとりが「商人」であり、「商人」が自らの商いの行動を「三方よし」を念頭に自律的に思考し全うする、ということ。
従業員が高潔な理念を個々人に秘めてパワーを発揮する、いわば「個の力」を持つことを強みとした企業体でありたい、という考えの表れだろう。
業績
売上・純利益(株主帰属)の推移
直近の純利益(株主帰属)
8,203億円
2022年3月期
従業員一人当たり純利益
713万円
2022年3月期
連結従業員数115,124名で除算
純利益の構成(2022年3月期)
22年3月期は過去最高益。
鉄鉱⽯や⽯炭の価格上昇に伴う増益、コロナ影響からの消費回復に伴い機械(自動車)・住生活(建機・建材)などで堅調。
伊藤忠商事はいわゆる非資源領域、生活消費関連の純利益が7割程度を占めるのが特徴的。景気変動にもある程度強そう。
バランスシート(2022年3月時点)
自己資本比率
39.2%
調達資金のうち、純資産、すなわち金融機関等に返す必要のないお金の割合
流動比率
131.8%
1年以内に発生する支払い義務が生じる負債に対して、すぐに現金化できる資金を持っている割合。一般に100%以上が適正、200%以上は安全
総売上回転率
1.01回
売上に対する総資本の割合。多すぎない元手で適切な売上を得られているかを示す。業種に寄るが、一般に1~1.5回以上が効率的な経営の目安
主要な働きかたの指標(2021年度)
入社後3年定着率
99.5%
平均勤続年数
17.6年
有給休暇平均取得
9.9日
月平均残業時間
39.1時間
残業時間はかなり長めと言わざるを得ない。
一方、定着率も平均勤続年数も高い水準。
新卒採用の動向
直近の採用人数
総合職 | 事務職 | |
2022年度 | 97名(文74、理23) | 10名 |
2021年度 | 103名(文74、理29) | 13名 |
2020年度 | 106名(文87、理19) | 14名 |
例年100~120人くらいをコンスタントに採用。
配属面談を通し、最初は東京・大阪などの本社勤務が大半。
のち国内海外問わず全域に異動していく。
初任給は総合職25.5~29万と一般相場よりやや高め。