総合商社のビジネスモデル
この記事では、総合商社のビジネスモデルについてまとめます。
総合商社の基本的なビジネスモデル
総合商社は、その名前のごとく「総合的に」つまりなんでも商材を取り扱うのですが、近年では扱う商材が資源分野(石油・天然ガス・鉱石など)から非資源分野(食料品・機械・繊維・住宅・情報サービスなど)へと変わってきています。
資源分野はもともと総合商社のドル箱となっていた事業領域ですが、この数年のコロナ禍やウクライナ情勢で顕在化してきた通り、国際的な相場価格や地政学リスクの影響を受けやすいというデメリットもあります。
そのため、安定感のある事業ポートフォリオとして非資源分野に比重を寄せるような事業再編が行われる傾向が進んでいるようです。
さて、総合商社は「トレード」と「事業投資」の2つがビジネスモデルの核となります。
この詳細を確認してみましょう。
トレード
トレードとは、「需要側:何かモノを欲しい人」と、「供給側:そのモノを持っている人」とを仲介業者として結びつけ、仲介料として手数料を取る、あるいは需要側への売値と供給側からの買値の差額で収益を上げる事業を指します。
利用者の目線からすれば、一見、直接取引ではなく仲介業者が入ることで、マージンその他が取られるデメリットが大きく見えてしまいそうですね。
しかし、「販売促進や交渉の手間・コストを抑えることができる」、「仲介業者に代金回収も行ってもらえるため、未回収リスクが低い」など、それを補って余りあるメリットが存在します。
結果的に、商社を介した方が手間なく効率的にビジネスを進めることができる、というわけです。
このように、良いモノ・サービスを持っている供給者の開拓や、それを必要としている需要者との関係性の構築、そしてその双方を結びつける企画力が、トレード事業において大きなビジネスに発展していく鍵となります。
事業投資
事業投資とは、企業へ投資をし、その結果、投資先企業が創出した利益や配当金、株価上昇による利益(キャピタルゲイン)で収益を上げる事業を指します。
投資の方法は、企業の買収、株式の購入、出資など、多様な形式があります。
概ねどのケースにおいても、自社の社員を経営陣として送り込み、自社グループの物流網やリソースを活用することで利益を上げる、という営みが行われます。
いかによいモノ・サービスを持っている企業であれ、単独の資本・人員やノウハウだけでビジネスを拡大するには限界があります。
トレードが需要側と供給側を結び付けるビジネスだとすれば、事業投資はその片側、またはその双方を、よりダイナミックに強化するビジネス、と言うことができそうです。
5大商社の企業研究
5大商社と言われる、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事の企業研究は、以下の記事をご確認ください。
- 三菱商事 (連結売上17.3兆円、純利益9,375億円*)
- 伊藤忠商事 (連結売上12.3兆円、純利益8,203億円*)
- 三井物産 (連結売上11.8兆円、純利益9,147億円*)
- 丸紅 (連結売上8.5兆円、純利益4,243億円*)
- 住友商事 (連結売上5.5兆円、純利益4,637億円*)
*いずれも22年3月期