明治ホールディングス(明治・Meiji Seika ファルマ)の企業研究

この記事では、明治ホールディングス(明治・Meiji Seika ファルマ)の企業研究についてまとめます。

(2023年1月時点の情報に基づいています)

10秒でわかる明治ホールディングスのまとめ

1916年に『東京菓子株式会社』、翌年に『極東煉乳株式会社』を設立しました。

また、1946年にはペニシリンの製薬事業も展開しています。

現在の明治は、チョコレート・ヨーグルト・プロテインなどの食品類で国内トップクラスのシェアを誇る一方、抗菌剤・ワクチンなど感染症治療薬のリーディングカンパニーでもあります。

直近の純利益は875億円。従業員一人当たり純利益は505万円(22年3月期)

会社概要

明治ホールディングス株式会社は、食品事業の株式会社明治と医薬・医療品事業のMeiji Seika ファルマ株式会社を主要傘下会社とした持ち株企業です。

2009年に明治製菓・明治乳業を統合し、持ち株会社明治ホールディングスを設立したのち、2011年には食品事業会社『株式会社 明治』、薬品事業会社『Meiji Seika ファルマ株式会社』に事業再統合して今の持ち株会社の形になりました。

会社名株式会社明治
URLhttps://www.meiji.co.jp/
本社東京都中央区京橋二丁目2番1号
資本金336億4,000万円
従業員数10,464名
事業概要牛乳・乳製品、菓子、食品の製造販売等

会社名Meiji Seika ファルマ株式会社
URLhttps://www.meiji-seika-pharma.co.jp/
本社東京都中央区京橋二丁目4番16号
資本金283億6,300万円
従業員数5,655名
事業概要医療用医薬品の製造販売

会社概要の補足

1916年に明治製菓の前身『東京菓子株式会社』を設立したのち、1917年に明治乳業の前身『極東煉乳株式会社』を設立しました。

そして、戦後間もない1946年にはペニシリンの製造をはじめとした製薬事業にも展開している、創業100年を超える老舗です。

1926年に「ミルクチョコレート」、1928年に「明治牛乳」、1968年に日本初のスナック菓子と言われる「カール」、その後も「きのこの山」「チェルシー」など、現代でもブランド力の高い数多くの食品類を展開しています。

中でも、チョコレート・ヨーグルト・牛乳・グミ・プロテインなどの食品セグメントでは、国内トップクラスのシェアを誇ります。

その一方で、医薬品セグメントでも抗菌剤やワクチン、ジェネリック医薬品など感染症治療薬のリーディングカンパニーとしての強みも持っています。

同社の機能性ヨーグルト「LG21」「R-1」に代表されるように、提供商品には健康と食とをつなげる「明治らしさ」の追求が見て取れますね。

理念・ビジョン

私たちの使命は、 「おいしさ・楽しさ」の世界を拡げ、「健康・安心」への期待に応えてゆくこと。
私たちの願いは、「お客さまの気持ち」に寄り添い、日々の「生活充実」に貢献すること。
私たち明治グループは、「食と健康」のプロフェッショナルとして、常に一歩先を行く価値を創り続けます。

明治ホールディングス HP「グループ理念」より

一般的にはお菓子や乳製品のイメージが強い明治ですが、グループ理念からもわかる通り、かなり「食」と「健康」との結びつきについて強い信念を持っていることが伺えますね。

健康にアイディアを。

明治ホールディングス HP「グループスローガン」より

CURE(なおす)・CARE(まもる)・SHARE(わかちあう)のサイクルで、ひとりひとりの健康をみんなの笑顔につなげていくことが「meijiらしい健康価値」である、と定めています。

元来、「健康」と「食」は切っても切れない関係にありますが、「健康である」ことを目的とした「食」は、必ずしも「おいしい」や「楽しい」だけで構成されるものではないことも往々にしてあります。

明治は、食品と医療品に強みを持っていることを起点として、「食」が「おいしい」「楽しい」ことは大前提としつつ、その先、一人一人の心身の健康がたくさんの笑顔のスイッチをいれていき、地球全体に広がっていければ、結果としていい未来を創れるはずだ、という思想をもっているようです。

だから「健康」に「アイディア」をもたらしたい、というグループスローガンなのでしょうね。

業績

売上・純利益(株主帰属)の推移

直近の純利益(株主帰属)

875億円

2022年3月期

従業員一人当たり純利益

505万円

2022年3月期
連結従業員数17,336名で除算

純利益の構成(2022年3月期)

22年3月期からは新会計基準を適用したことで見た目上の売上は大きく下がりましたが、仮に21年3月期にも新会計基準を適用して比較すると、昨年比0.6%の増という形でした。

営業利益ベースで食品領域を見ると、ヨーグルト・チーズ事業が349億円と稼ぎ頭で、ニュートリション事業(乳幼児ミルク、スポーツ栄養、流動食、美容サプリなど)が193億円、チョコレート・グミ事業が126億円と続きます。

食品領域は、ニュートリション事業やチョコレート・グミ事業が21年3月期売上・営業利益を上回る一方で、原料費の高騰などもあり、ヨーグルト・チーズ事業や牛乳事業は苦戦したようです。

食品領域ごとの業績とコロナ禍の影響とは密接にかかわっています。

たとえば、チョコレート・グミ事業は通勤・通学が復活してきていることでオフィス・学校等での需要が回復してきていることがプラスに働きました。

半面、ヨーグルト・チーズ事業や牛乳事業は体調管理意識の高まりや巣ごもり消費が一服してきたことでマイナスに働いています。

一方、医薬品領域の方を営業利益ベースで見ると、ヒト用ワクチンが114億、国内医薬品36億、海外医薬品が40億という構成でした。

ワクチン事業では、アストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチン製剤化を受託したことにより増益となりました。

今後の重点戦略

食品領域では、原材料価格およびエネルギーコストの高騰に対して、価格改定や容量変更などの調整でコスト上昇分を吸収する一方で、健康志向食品などを中心にマーケティング活動の強化を想定しているようです。

一方の医薬品領域では、感染症領域に経営資源を集中し、アジアにおけるワクチンと感染症薬のリーディングカンパニーとしての競争優位性確立に取り組んでいく方針です。

バランスシート(2022年3月時点)

自己資本比率

63.8%

調達資金のうち、純資産、すなわち金融機関等に返す必要のないお金の割合

流動比率

158.9%

1年以内に発生する支払い義務が生じる負債に対して、すぐに現金化できる資金を持っている割合。一般に100%以上が適正、200%以上は安全

総売上回転率

0.91回

売上に対する総資本の割合。多すぎない元手で適切な売上を得られているかを示す。業種に寄るが、一般に1~1.5回以上が効率的な経営の目安

主要な働きかたの指標(2020年度)

入社後3年定着率

91.7%

平均勤続年数

17.9年

有給休暇平均取得

14.9日

月平均残業時間

-

グループとして女性の活躍支援、仕事と家庭との両立支援制度に注力しています。

特に、産前・産後休暇、育児休業後の復職率が100%と非常に高いです。

経産省の認定する「健康経営優良法人(ホワイト500)」にも2022年時点で6年連続選出されています。

新卒採用の動向

直近の採用人数

明治(総合職)Meiji Seika ファルマ(総合職)
2022年度30名15名
2021年度28名27名
2020年度40名49名

20年度はグループ全体で89名の新卒採用をしていましたが、業績がコロナ禍など外的要因の影響を受けやすい関係か、直近年ではグループ全体で45名とおおよそ半減しており、慎重な採用方針になっているようです。

技術職の採用職種としては、基礎研究、効能の信頼性保証、製品の開発研究、工場の生産技術職など、生理学・栄養学から電気工学・機械工学まで、幅広く素養を活用できます。

営業・事務職としては、コーポレートスタッフ、売り場開拓などの営業職、MR等を募集しています。

採用・募集は株式会社明治と医薬・医療品事業のMeiji Seika ファルマ株式会社とで別々に行われているようです。