丸紅の企業研究

この記事では、丸紅株式会社の企業研究についてまとめます。

(2023年1月時点の情報に基づいています)

10秒でわかる丸紅のまとめ

「穀物事業」と「電力・エネルギー事業」に優位性がある5大商社の一角。

穀物の取扱量は国内No.1で、プラントや飼料・肥料などに強みを持っています。

エネルギー事業ではグローバル規模でトップクラスのIPP(独立系発電事業者:Independent Power Producer)でもあります。

直近の純利益は4,243億円。従業員一人当たり純利益は920万円(22年3月期)

会社概要

会社名丸紅株式会社
URLhttps://www.marubeni.com/jp/
本社東京都千代田区大手町一丁目4番2号
資本金2,629億4,700万円
従業員数4,379名
事業概要ライフスタイル、情報・物流、食料、アグリ事業、フォレストプロダクツ、化学品、金属、エネルギー、電力、インフラプロジェクト、航空・船舶、金融・リース・不動産、建機・産機・モビリティ、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメント、その他の広範な分野において、輸出入(外国間取引を含む)及び国内取引の他、各種サービス業務、内外事業投資や資源開発等の事業活動を多角的に展開。

基本的なビジネスモデル

丸紅は「5大商社」の一角。これらの総合商社は「トレード」と「事業投資」の2つがビジネスモデルの核となります。

総合商社の基本的なビジネスモデルはこちらの記事(総合商社のビジネスモデルをご確認ください。

理念・ビジョン

正・新・和

丸紅 HP「経営理念」より

企業ホームページにも明確に「これ」といえる説明が見当たらないのですが…

おそらく

「正」とは「公正明朗であること

「新」とは「進取精神に溢れていること

「和」とは「相互の繁栄を図ろうとすること

をそれぞれ指しているものと思われます。

志・挑・論・強・正

丸紅 HP「丸紅スピリット」より

「丸紅スピリット」は、経営理念を実現するための個人の行動指針を示したもの。

「志」は「大きな志で未来を築け」、

「挑」は「挑戦者たれ」、

「論」は「自由闊達に議論を尽くせ」、

「強」は「困難を強かに突破せよ」、

「正」は「常に迷わず正義を貫け

をそれぞれ指しているそうです。

いわゆる「会社の方針に従ってミッションを遂行する人材」というよりは、一人一人が正義感を持ち、あるべき未来を考えつくし、未来を創る主体者である、という意気込みが伝わってくるようですね。

業績

売上・純利益(株主帰属)の推移

直近の純利益(株主帰属)

4,243億円

2022年3月期

従業員一人当たり純利益

920万円

2022年3月期
連結従業員数46,100名で除算

純利益の構成(2022年3月期)

売上・純利益の推移をみると、20年3月期の純利益の落ち込みに目が行きます。

この当時は、新型コロナウイルス感染症の世界規模の感染拡⼤や原油価格の急落等が発生していました。

それに伴い、アグリ事業において▲783億の減損(米国穀物大手ガビロン社ののれん減損)、エネルギー事業において約▲1,500億の減損(米国メキシコ湾、英領北海の石油・天然ガス開発事業の減損)を計上しました。

ただ、これらはいずれも「将来に渡って利益を生まない資産をマイナス計上する」という一過性のものが大きかったようです。

事実、22年3月期には過去最高益を出すまでに回復しています。

一方で、丸紅は、石油・天然ガスという海外×資源の売上・利益構成比率が大きい会社です。

それゆえ、グローバル規模のコロナ感染状態、ウクライナ紛争等の地政学リスク(サハリン1にも出資)、金融不安などの状況を受けやすい、と言えそうです。

バランスシート(2022年3月時点)

自己資本比率

28.3%

調達資金のうち、純資産、すなわち金融機関等に返す必要のないお金の割合

流動比率

120.6%

1年以内に発生する支払い義務が生じる負債に対して、すぐに現金化できる資金を持っている割合。一般に100%以上が適正、200%以上は安全

総売上回転率

1.03回

売上に対する総資本の割合。多すぎない元手で適切な売上を得られているかを示す。業種に寄るが、一般に1~1.5回以上が効率的な経営の目安

主要な働きかたの指標(2021年度)

入社後3年定着率

-

平均勤続年数

17.5年

有給休暇平均取得

12.7日

月平均残業時間

19.0時間

5大商社の中ではやや有給取得日数が多めで、残業時間もやや少なめです。

(参考までに、21年度の5大商社の平均有給取得日数は11.7日、残業時間は25.5時間です。)

新卒採用の動向

直近の採用人数

総合職(グローバル)一般職
2022年度105名
(文79、理26)
18名
(文18、理0)
2021年度106名
(文83、理23)
18名
(文17、理1)
2020年度106名
(文68、理33)
15名
(文14、理1)

例年100~120人くらいをコンスタントに採用しているようです。

23年度の応募要件に「当社役員・社員の子女、兄弟姉妹でない方」を掲げており、フラットに多様で優秀な人材を取り込みたいという意欲の表れがあるようですね。

若年時から海外経験や最前線の現場経験を推進しており、総合職も「グローバル」という採用コースとなっています。

初任給は、5大商社の例にもれず、総合職25.5~29万と一般相場よりやや高めです。

5大商社の企業研究

5大商社と言われる、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事の企業研究は、以下の記事をご確認ください。

  • 三菱商事 (連結売上17.3兆円、純利益9,375億円*)
  • 伊藤忠商事 (連結売上12.3兆円、純利益8,203億円*)
  • 三井物産 (連結売上11.8兆円、純利益9,147億円*)
  • 丸紅 (連結売上8.5兆円、純利益4,243億円*)
  • 住友商事 (連結売上5.5兆円、純利益4,637億円*)

*いずれも22年3月期