三菱商事の企業研究
この記事では、三菱商事株式会社の企業研究についてまとめます。
(2023年1月時点の情報に基づいています)
10秒でわかる三菱商事のまとめ
5大商社の中でも純利益No.1(22年3月期)。
豊富な資金力を背景に、多様な事業ポートフォリオを形成。
原料炭や天然ガスなどの資源分野の利益がドル箱。
「ローソン」、東南アジアの自動車事業、ノルウェーのサーモン養殖事業など、強みを多角的に伸ばしている。
直近の純利益は9,375億円。従業員一人当たり純利益は1,161万円。(22年3月期)
会社概要
会社名 | 三菱商事株式会社 |
URL | https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ |
本社 | 東京都千代田区丸の内二丁目3番1号 |
資本金 | 2,044億4,667万円 |
従業員数 | 5,571名 |
事業概要 | 天然ガス、総合素材、石油・化学ソリューション、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発の10グループに産業DX部門を加えた体制で、幅広い産業を事業領域としており、貿易のみならず、パートナーと共に、世界中の現場で開発や生産・製造などの役割も自ら担っています。 |
基本的なビジネスモデル
三菱商事は「5大商社」の一角。
これらの総合商社は「トレード」と「事業投資」の2つがビジネスモデルの核となる。
総合商社の基本的なビジネスはこちらの記事(総合商社のビジネスモデル)をご確認ください。
三菱商事は、純利益が5大商社No.1(2022年3月期)。
B/Sが圧倒的サイズだが、豊富な資金力をベースに、非常に多様な事業ポートフォリオを形成している。
中でも原料炭(製鉄用のコークス,都市ガスや化学原料用のガスなどを製造する目的で使用される石炭)や天然ガスなどの資源分野の利益がドル箱。
一方で、非資源分野も「ローソン」をはじめ、機械、食品、化学品領域など、非常に多様な三菱グループの中核企業。
理念・ビジョン
所期奉公 処事光明 立業貿易
三菱商事 HP「根本理念「三綱領」」より
旧三菱商事の第四代社長、岩崎小彌太の訓示をもとに、1934年に旧三菱商事の行動指針として制定されたもので、「三綱領」という。
「所期奉公」とは、「期するところはご奉公」。
生産活動は国の最も重要な事業であり、自分たちは国から極めて重要なその任務を任されており、したがって事業運営の究極の目的は、国のためにベストを尽くす(ご奉公)ということである。
…という趣旨の戦前の言葉が元になっているが、現代風に言えば「事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献すること」を指すようだ。
「処事光明」は、字面そのまま「公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する。」を指している。
「立業貿易」とは、字面そのままの意味は「対外貿易で業を立てる」ということなのだが、これは小彌太社長が太平洋戦争勃発の2日後に発言した内容が元になっている。
「…これまでわが三菱はさまざまな分野で英国や米国のパートナーと協力してきた。それが今や不幸にして敵と味方に引き裂かれてしまったが、彼らの身辺と権益を守ることは日本人の情義であり責務である。…いずれの日にか再び彼らと協力しあって世界の平和や人類の福祉に貢献するときが来るだろう」
三菱商事 HP「根本理念「三綱領」」より
戦時中真っただ中の日本にあっても、とても深い視座で未来に思いを馳せていたのだろう。
すなわち、現代的な解釈としては「全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。」ということだそうだ。
業績
売上・純利益(株主帰属)の推移
直近の純利益(株主帰属)
9,375億円
2022年3月期
従業員一人当たり純利益
1,161万円
2022年3月期
連結従業員数80,728名で除算
純利益の構成(2022年3月期)
2022年3月期の純利益は5大商社No.1。
原料炭事業、LNG・シェールガス事業の需要・単価上昇に伴い、昨対比で大幅に純利益改善している。
純利益の構造を見れば一目瞭然だが、金属、次いで天然ガスという形で、大きく資源分野の利益が突出して強みと言えるだろう。
一方で資源分野は国際的な資源相場価格の上下動の影響を受けやすいというデメリットもあるため、会社として安定感のある事業ポートフォリオの組替えや事業再編成を積極的に行っているようだ。
東南アジアの自動車事業や、ノルウェーのサーモン養殖事業の拡大、ローソンに代表される販売コンシューマの拡大など、強みを多角的に伸ばし始めている。
バランスシート(2022年3月時点)
自己資本比率
35.9%
調達資金のうち、純資産、すなわち金融機関等に返す必要のないお金の割合
流動比率
130.2%
1年以内に発生する支払い義務が生じる負債に対して、すぐに現金化できる資金を持っている割合。一般に100%以上が適正、200%以上は安全
総売上回転率
0.79回
売上に対する総資本の割合。多すぎない元手で適切な売上を得られているかを示す。業種に寄るが、一般に1~1.5回以上が効率的な経営の目安
主要な働きかたの指標(2021年度)
入社後3年定着率
-
平均勤続年数
18.4年
有給休暇平均取得
10.6日
月平均残業時間
30.4時間
残業時間はやや長め。
一方、平均勤続年数は高い水準。
新卒採用の動向
直近の採用人数
総合職 | 事務職 | |
2022年度 | - | - |
2021年度 | 123名 | 0名 |
2020年度 | 127名 | 0名 |
5大商社の中では総合職採用の人数がやや多めで例年120人程度をコンスタントに採用。
若手教育が比較的手厚く、入社1~3年目までの若手社員に財務会計・簿記・M&A・英語力・IT等、実務プロフェッショナルとしての基礎スキル習得を支援しつつ、事業のグローバル展開に向けた海外派遣制度も充実しているようだ。
初任給は総合職25.5~29万と一般相場よりやや高め。